心の海。
とよひかり珈琲店は
トタン屋根で覆われている。
改修中の今、
当然に冷房機器は間に合ってはいない。
太陽が降り注ぐ日の改修作業は、
ちょっとしたサウナ状態である。
この壁を剥がそうか、
剥がさずに上から貼り直そうか、
・・・
よし、一回剥がしてみよう。
そんな、改修DIYを一人していた時のこと。
「働くとはどういうこと?」
唐突ではないけれど、
そういう問いかけを
投げかけ、
店主に一度立ち止まって考える時間をくれる
友人がいる。
知り合ってかれこれ15年近くになる
気の知れた、友。
熱中症になって倒れる訳にもいかないので、
ひと休憩をしながら、
その「働くとはどういうこと?」という問いを
ぐるぐると、頭の中を駆け巡らせてみる。
もちろん
答えはひとつではなくて、
むしろ正しい答えはないのが答え。
それでも、
今の自分なりの答えは何なのか、
それを考えてみることに
意味があるのかなと思い、
思考の世界に耽ってみる。
毎日を暮らすために働き、
家族を養うために働き、
夢を叶えるために働き、
必要とされる人のために働き、
自己実現のために働き、
働かなきゃきけないから働いている。
一生懸命に働いているからこそ、
自分が今している仕事は、
一体何のためにしているのか、
わからなくなってしまう時が
誰しもある。
今の店主にとって、働くとは何か。
考えを駆け巡らせたその答えがどうであれ、
それを友に伝えることで、
少し立ち止まって
一呼吸つく時間をお互いに持つことができ、
ちょっとだけかもしれないけれど、
心に晴れ間が広がるのかもしれない。
悩む気持ちに、
耳を傾けて、
一緒に悩むこともひとつ、
悩む時間が勿体無いと、
あっけらかんと
悩みを吹き飛ばすのもひとつ、
まるで海のような
人の心は、
そう簡単に操れるものではない。
だからこそ、
人は時に海を眺め、
ぼーっと
心の洗濯をする。