とよひかりの灯。
2016年4月某日。
とよひかり珈琲店の第一候補地である
空き家の掃除に取り掛かった。
日本各地で問題になっている空き家問題。
ここ宇検村でも他人事ではない。
貸したくても荷物があるので貸せない。
お盆時期に子どもが帰ってくるから貸せない。
とても人が住める状況ではない。
住めない理由は山ほどでてくる。
潰すもお金、
改修するもお金。
補助金でどうにかなるのは、ほんの一握りだけ。
そんなとよひかり珈琲店の第一候補地も、
一筋縄ではいかない。
まずは、家屋内にある不用品の処理。
2階から1階へ移動し、
使えるもの、
譲れるもの、
売れるもの、
仕方ないが廃棄するものと仕分ける。
途方もない分別の作業が続く中、
シロアリに食されている箇所を見つけると、
ため息しか出ない。
本当にここをとよひかり珈琲店とできるのか、
作業をする度に、不安に襲われる。
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そんな時、ふと思った。
「この不安の根源は一体何なのか」
答えはとても簡単だった。
「いくらお金がかかるんだろう・・・」
ただそれだけだった。
むしろ、お金の心配を除くと
「楽しいことばかり思い浮かんでくる。」
何億円とかかるわけでも、
何千万円とかかるわけでもない。
これから頑張ってペイできる金額なら
それに気を取られるのはもったいない。
「金は天下のまわりもの」
そんな言葉もあるし、
それだけ想いがあることなら、
貯めるより使え。だ。
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頭の中にとよひかり珈琲店のイメージが
できた日から
もう、それを叶えられる。
そんな根拠のない自信は、
言葉では伝えられないけど、
とよひかり珈琲店の店主には溢れていた。
一人より、二人。
二人より、三人。
関わる人が少しずつ、ぽこぽこと増えていく。
作業効率が上がるのは、もちろんだけど
人がいるだけで、大変な作業も楽しいし、
心強い。
一歩一歩、
丁寧に。
とよひかりの灯った日に思うこと。