8月の約束。

 

7月が過ぎ、8月に入った。

 

子ども達の夏休みが始まり、

ラジオ体操の連絡が防災無線を通じて

集落内に響きわたる、朝6時過ぎ。

寝ぼけ眼でそれに耳を傾け、夏の朝を感じる。

 

外に出ると、

日差しが眩しく肌に突き刺さる勢い。

雑草と一まとめに呼ばれる

名前の知らない草花は、

その日差しを受けてぐんぐんと背を伸ばし、

とよひかり珈琲店の庭を覆っていく。

 

店主のこの頃の夕方の日課は、

そのぐんぐんと伸びていく草花を

申し訳ない気持ちを半分に、

引っこ抜く作業。

 

そんな作業の傍で、

いろいろな草花を見ていると、

引っこ抜くのを躊躇わせる

かわいい葉っぱに出会ったりする。

名前も知らないその葉っぱに、

癒される夕暮れ時である。

 

 

お店づくりの方はというと、

2週間ほど前から、

大工さんと設備屋さんに入っていただき、

素人ではできない作業を進めてもらっている。

 

複雑な構造の壁と天井の形に合わせて、

下地材を切り貼りしたり、

設置予定の厨房設備に合わせて、

配管の位置を微調整したり、

柱に合わせてピタリと床板を貼ったり、

 

 

完成イメージが店主の頭の中にあるだけなので、

ひとつひとつ細かい部分を

日々お伝えするという、

作り上げる職人さんにとって、

少しばかり面倒な施主である。

 

そして大工さんや設備屋さんが入り、

お店づくりが具体的になっていくにつれて、

お店の前を行き来する人に

「オープンはいつ頃かい?」と

聞かれる事も多くなり、

早くお店として動き出したいなぁと

そういう想いが募るばかりである。

 

心の中では8月にオープンと決めていたけれど、

こういう時に限って、色々な事が重なり、

ひとつのことに集中できなくなってきた。

 

相変わらず

要領よくこなすことが苦手な店主である。

 

逆に言えば、こういう時だからこそ、

気持ちが整うまで待ってみる。

 

8月に間に合わなくても、

いつの日か必ずと

心に決めておけば大丈夫。

 

そう、誰かが言ってくれたことを信じて、

 

今、台風で身動きがとれない分、

ゆっくりと椅子に座る時間はあるので、

久しぶりに筆を取りながら

そんなことを思い出していた。